――未成年の「依存」の責任は誰にあるのか
福島県小学校長会より
「子どものネット・SNS利用の実態」に関する調査結果が示されました。
全国的に、
低学年のうちからスマホ・オンラインゲームに関する問題が頻出している
現状が明らかになっています。
調査で見えてきた、保護者の困りごと
実際、保護者から多く挙げられていたのは、次のような声だそうです。
- 夜にオンラインゲーム上で友達と待ち合わせて遊んでいる
- 特定のオンラインゲームに強く執着している
- スマホ・ゲーム・SNSの使いすぎで時間制限が守れない
- 言葉遣いの荒れ、SNS・ゲーム上でのトラブル
- 課金をめぐる問題が起きている
これらは、
一部の家庭の問題ではありません。
すでに社会全体で起きている現象です。
スマホ・オンラインゲーム依存は「疾患」と定義されている
この問題を
「しつけの問題」
「性格の問題」
として扱うことは、すでに適切ではありません。
世界保健機関(WHO)は、
オンラインゲーム依存(Gaming Disorder)を
正式な疾患として定義しています。
2019年、
国際疾病分類 ICD-11 に収載されました。
「依存」とは何か ―― 定義をはっきりさせる
WHOが示す依存の中核は、次の3点です。
① コントロールの喪失
- やめたい、減らしたいと思ってもやめられない
- 利用時間や頻度を自分で制御できない
② 最優先化
- 学習、睡眠、家族との時間よりも
ゲームやSNSが優先される
③ 悪影響が出ても続けてしまう
- 成績低下、生活リズムの崩れ
- トラブルが起きても利用をやめられない
これらが
一定期間(おおむね12か月以上)継続し、生活に支障が出ている場合、
「依存」と判断されます。
時間の長さ=依存ではない
重要なのは、
使用時間そのものではありません。
判断基準は、
- やめようとしてもやめられないか
- 制限されると強い抵抗が出るか
- 生活や人間関係に影響が出ているか
という
コントロールの可否と生活への影響です。
子どもは「やめられない」前提にある
発達心理学・脳科学の研究では、
- 自己制御機能が成熟するのは20代半ば
- 小学生は衝動抑制が未完成
- 強い報酬刺激(ゲーム・SNS)は依存を急速に進める
ことが分かっています。
つまり、
子どもがスマホやゲームをやめられないのは、
意志の弱さではありません。
発達段階として、制御できないことが前提です。
未成年の依存の責任は誰にあるのか
ここで、
曖昧にしてはいけない結論があります。
未成年のスマホ・オンラインゲーム依存の責任は、親にあります。
これは責めではありません。
管理責任の所在の話です。
- デバイスを与えたのは誰か
- 利用時間・内容を決める立場は誰か
- 夜間利用・課金・SNS管理をできるのは誰か
子どもには、
それを自己管理する力はありません。
「依存」を子どもの問題にしてはいけない
よく聞く言葉があります。
- 「みんなやっているから」
- 「友達関係が心配で」
- 「取り上げると荒れるから」
しかし、
依存状態に入ってからでは、本人が抜け出すことは困難です。
依存を放置することは、
子どもの将来に
長期的な不利益を確定させる選択になります。
依存を防ぐために必要なのは「親の覚悟」
必要なのは、
- 感情論ではなく構造として管理すること
- 使える時間・場所・内容を明確にすること
- 「嫌われても線を引く」覚悟
未成年の場合、
本人任せにすること自体がリスクになります。
【チェックリスト】わが子は依存状態に近づいていないか
以下に複数当てはまる場合、
依存の入口、または依存状態に入っている可能性があります。
行動面
- □ やめる時間になっても切り上げられない
- □ 約束を何度も破る
- □ 制限されると強く怒る・荒れる
生活面
- □ 睡眠時間が削られている
- □ 学校や家庭での集中力が落ちている
- □ 食事や会話中もスマホ・ゲームを優先する
心理・対人面
- □ 言葉遣いが荒くなった
- □ ゲームやSNSの話題以外に興味を示さない
- □ トラブルが起きても「自分は悪くない」と言う
管理体制
- □ 利用ルールが曖昧、または守られていない
- □ 課金・利用内容を親が把握していない
- □ 親が管理することをためらっている
3項目以上当てはまる場合、早急な対応が必要です。
最後に
スマホやオンラインゲームは、
これからもなくなりません。
だからこそ、
未成年が安全に使うための責任を
大人が引き受ける必要があります。
子どもは、
管理され、守られることでしか
自制心を身につけることができません。
未成年の依存は、
本人の問題ではなく、
大人の管理責任で防ぐものです。
参考
- WHO「ICD-11」Gaming Disorder
- 発達心理学・脳科学研究(自己制御機能の発達)

