「家族を大切にできない人に、人を幸せにする経営はできない」──私の信念
日々、子どもたちと向き合う現場にいると、つくづく感じることがあります。
それは、「人は、最も身近な人との関係性の質が、そのまま仕事に現れる」ということです。特に福祉・教育・子育て支援など「人の幸せ」を扱う仕事においては、それが如実に表れます。
■ 家族をおざなりにした「成功」は、ほんとうの成功か?
近年の研究によれば、経営者の家庭内関係と組織運営との間には密接な相関があります。
心理学者ジョン・ゴットマンは、「人間関係の質は、共感と信頼の有無で決まる」と述べており、これは家庭にも職場にも共通する原理です。
たとえば、家庭内で「ありがとう」や「ごめんなさい」が自然に言える関係性を築いている人は、職場でもその誠実さがにじみ出る傾向があります。
反対に、家庭を顧みない姿勢や支配的な態度が見られる人は、組織でも信頼関係を築くことが難しくなることが報告されています(出典:Harvard Business Review, 2020)。
私はこれまでに多くの経営者や指導者と出会ってきましたが、「家庭を大切にしていない人はどんなに途中お金が稼げていたとしても人としての幸せを手に入れることが出来ず苦しむ」という場面を数多く目にしてきました。
■ 子どもを支配しようとする人は、子どもと向き合う仕事には向いていない
子ども相手の仕事において、「子どもを思い通りに動かそうとする人」は、知らず知らずのうちに支配型のコミュニケーションをとってしまいます。
教育心理学では、「支配的な関わり(コントロール行動)」は、子どもの主体性や学びへの意欲を著しく低下させると報告されています(Deci & Ryan, 2000/自己決定理論)。
実際、子どもの自由な発想や個性を伸ばすためには、大人が「導く」のではなく「見守る」「信じる」姿勢が必要です。
これは自分の子育てにも通じます。
私自身、「自分の子どもとの関係性を通じて、自分のあり方を見つめ直す」ことを何度も経験してきました。子どもは親の鏡であり、支配的に接すれば、子どもは萎縮し、反発し、心を閉ざしてしまうものです。
それと同じことが、支援の現場でも、教育現場でも、必ず起こります。
■ 最後に──信頼は、身近なところから育てるもの
「家庭」と「仕事」は切り離せるものではありません。
どれだけ社会的に認められた肩書きがあっても、家族を傷つけていたり、子どもを自分の思い通りにしようとしたりしているのであれば、その人の発する言葉や指導には、子どもたちは敏感に気づきます。
私の信念はこうです。
家族を大切にできない人が、他人の人生に寄り添えるはずがない。
子どもを支配しようとする人が、子どもを導けるはずがない。
社会に誠実であろうとするなら、まずは最も近い「家族」や「自分の子ども」との関係から見つめ直すべきであると自分を戒めています。


