「型がある自由」と「型がない自由」
――一見似ていて、まったく違う子どもの育ち――
「自由にさせたい」
これは、多くの保護者が願う、とても自然な気持ちです。
しかし一方で、現場にいると強く感じることがあります。
自由には“質の違い”があるということです。
おひさまで大切にしているのは、
「型がある自由」。
対照的に、世の中には 「型がない自由」 も存在します。
この二つは、似ているようで、子どもの育ちに与える影響はまったく異なります。
■ 型がない自由とは何か
型がない自由とは、
- その場の気分で行動する
- 嫌になったらやめる
- やりたいことだけを主張する
- うまくいかないと感情で押し通す
- 周囲の状況や順番を考えない
といった状態です。
一見すると「のびのび」「自由」に見えることもありますが、
実際には 思考や感情を整理する枠組みがなく、衝動に支配されている状態 です。
発達心理学では、
このような状態は 自己制御(セルフコントロール)が未発達 な状態とされます。
■ 型がない自由が招きやすい困りごと
研究では、思考や行動の枠組みが育っていない子どもほど、
- 感情の切り替えが難しい
- 先を見通した行動ができない
- 失敗を他者や環境のせいにしやすい
- 対人トラブルが増えやすい
ことが示されています。
これは性格の問題ではなく、
「どう考え、どう行動すればよいか」を学ぶ機会が不足している結果 です。
■ 型がある自由とは何か
一方で、おひさまで育てている「型がある自由」は、次のような状態です。
- やるべきことを理解している
- 順番を考えて行動できる
- 自分で決めたことをやりきる
- 主張するときに理由を添えられる
- 思い通りにならないときも、感情より先に言葉を使える
これは、自由を制限しているようでいて、
実は 自由を扱う力が育っている状態 です。
■ 研究が示す「型がある自由」の強さ
実行機能(計画・抑制・柔軟性)に関する研究では、
- 行動の順番を理解している子ども
- ルールや条件を把握できる子ども
ほど、
学習面・社会性・情緒面の安定度が高いことが示されています。
また、自己決定理論では、
「自分で選び、その結果を引き受ける経験」を重ねた子どもほど、
内発的動機づけが高まり、主体的に行動できる とされています。
型がある自由は、
まさにこの条件を満たしています。
■ 同じ「自由」でも、行き着く先が違う
| 視点 | 型がない自由 | 型がある自由 |
|---|---|---|
| 行動の基準 | 気分・衝動 | 順番・理由 |
| 感情の扱い | そのまま表出 | 言葉で整理 |
| 主張 | 一方的 | 対話的 |
| 失敗時 | 混乱・癇癪 | 振り返り |
| 将来 | 不安定 | 自立・安定 |
どちらも「自由」という言葉を使いますが、
子どもが向かう先はまったく異なります。
■ なぜ「まず型」なのか
子どもにとって、
いきなり自由を与えられることは、
選択肢も責任も多すぎて、かえって不安になります。
まず、
- 考える順番
- 行動の筋道
- 言葉の使い方
という 型 を身につけることで、
子どもは安心して自由を使えるようになります。
これは「型にはめる」のではなく、
自由に動くための地図を渡すこと です。
■ おひさまが育てたい自由
おひさまで育てたいのは、
- わがままな自由
- 言いたい放題の自由
ではありません。
- やるべきことを理解し
- 自分の意思を言葉で伝え
- 周囲と折り合いをつけながら進める
社会の中で生きていける自由 です。
■ 型がある自由は、子どもを強くする
型がない自由は、混乱を生みます。
型がある自由は、子どもを強くします。
一見地味で、時間がかかるように見える
この「型づくり」こそが、
将来、子どもが折れずに生きていくための土台になります。
おひさまはこれからも、
この「型がある自由」を、
日々の関わりの中で丁寧に育てていきます。


