― 優しく丁寧な言葉に満ちたおひさまで育つ、子どもの心について考えてみました ―
1.おひさまでの「丁寧な言葉遣い」と、学校の「荒い言葉遣い」の間で葛藤が生まれる
おひさまでは言葉遣いにこだわります。日々、言葉遣いを意識する習慣が作られてきた子どもたちは、丁寧な言葉を選ぶようになり、穏やかになりますし、人にやさしく接することができるようになります。
子どもたち同士で「その言葉はだめだよ!なんていえばいいのかな?」などとやり取りしている姿は、とても頼もしく感じられます。
けれど、学校に戻ると現実は違うようです。子どもたちが話してくれたり、時に相談してきてくれます。
「荒い言葉を使う友達がいて、なんでそんな言い方をするの?おひさまでは、ちゃんと教えてくれるのに、その子たちは先生が注意してもやめないよ。だからさ、嫌なんだよ。」(小学2年女児)
「相談してもいいですか。荒い言葉を使う友達がしつこくしてきて嫌な気持ちだから、みんなおひさまに入ればいいのに。おひさまでは嫌な言葉を使わなくても自分の気持ちをつたえることができるようになのに…」(小学4年男児)
「悪い言葉はだめなんだよ、こう言いかえればいいんだよって教えてもまた使ってくるんだよ。」(小学1年男児)
このような葛藤は、成長の証であり、社会に出る第一歩の“心の壁”です。
おひさまで育った「優しさ」と「言葉の丁寧さ」が、必ずしも学校の環境で受け入れられるとは限らない――
この現実が、子どもたちの中に“葛藤”を生むのです。
2.研究が示す「言葉と感情の葛藤」
心理学・言語教育学の研究では、
丁寧な言葉を使う子どもほど、共感性が高く、他者の感情に敏感である
ことが分かっています。
- 筑波大学言語発達教育研究センター(2019):
丁寧語や肯定的表現を多く使う児童ほど、攻撃性が低く、共感的な対人スキルが高い。 - 東京大学教育学研究科(2022):
自己決定感が高く、言葉で自分を表現できる子ほど、ストレス耐性が強い傾向がある。
この2つの研究から見えてくるのは、
「丁寧な言葉を使える=繊細で優しい子ども」であるということ。
だからこそ、荒い言葉を耳にしたときに、
その刺激を強く受け止めてしまうのです。
この状態は心理学的には「感受性の葛藤」と呼ばれます。
優しさが深いほど、周囲の荒さに傷つきやすい。
でもそれは、心が育っている証であり、“人の痛みがわかる力”が芽生えたということでもあります。
3.葛藤を解消する3つの支援(内的・外的・社会的)
🌱 内的支援:自分の中で「やさしさ」を再定義する
子ども自身が「優しい言葉を使う自分は悪くない」と思えるように導きます。
スタッフや親が、「優しい言葉を選べるって、すごいことなんだよ」と伝えることで、
子どもの中に“言葉を守る誇り”が生まれます。
また、感情の言語化を促すことも大切です。
「どんな気持ちだった?」
「どう返せばよかったと思う?」
こうした会話は、感情を整理する心理的スキル(ラベリング力)を育て、
ストレスの軽減につながります(Gross, 2015/感情調整理論より)。
🏡 外的支援:家庭での一貫した声かけ
家庭でも「丁寧な言葉を選ぶことの価値」を共有することが重要です。
「おひさまで教わった言葉づかい、家でも素敵だね」と
肯定的に声をかけることで、子どもの自信はぐっと安定します。
また、国立教育政策研究所(2020)の報告によると、
家庭内の会話時間が長いほど、子どもの共感力・自己肯定感・言語的ストレス耐性が高い
ことが明らかになっています。
日常の中で「今日うれしかった言葉」「悲しかった言葉」を共有する習慣を作ることが、家庭でできる最良のサポートです。
🏫 社会的支援:学校・地域との連携
この葛藤は「子ども個人の問題」ではなく、言葉文化の違いから生じる社会的な現象でもあります。
学校や地域にも、「言葉づかいが子どもの心を守る力になる」という視点を伝える必要もあるなと感じています。
たとえば、
- 学校に「ことばの時間」を設け、やさしい言葉がもたらす効果を考える授業
- 学童・学校・家庭の3者で言葉の教育目標を共有する
- 学童での取り組みをポスターやお便りで紹介する
こうした連携が、社会全体の言葉の質を底上げし、
子どもたちが安心して言葉を使える世界につながると考えます。
優しい言葉は、心の芯の強さ
丁寧な言葉を使う子どもが葛藤するのは、
“優しさを守ろうとする心”がすでに育っているから。
荒い言葉に負けず、やさしい言葉を選び続けること。
それが本当の強さです。
おひさまでは、これからも言葉を通して、
子どもの内なる強さと優しさの両立を支えていきます。


